
フォトン・バイオ・アイ株式会社
Photon・Bio・Ai, Inc.
ストーリー・代表紹介 Story & CEO Introduction
光には、地球環境と人類産業活動との調和を可能にする深い力があると信じています。
We believe that photon has the profound potential to harmonize human industrial activities with earth's environment.
これから、光と付着生物に関する三つの発見のストーリーについて紹介したいと思います。それは、今思い出しても、笑いがこみあげてくる実に愉快でワクワクする出来事でした(前半の発見のストーリーは、「うみうし通信No85(2014年12月31日発行)」に掲載)。
今から20年以上も前、2000年の春のこと。電力会社への共同研究プロジェクト提案が採択され、その予算で、蛍光実体顕微鏡を購入することにしました。顕微鏡メーカーの代理店の方が、デモ機を持ってやってきました。当初、二人で来られる予定が急遽お一人になりました。いろいろあわてておられたのかもしれません。プレハブの実験室の台の上に顕微鏡を置き、撮影装置やモニターをつないで、無事、調整が終わりました。さあて、これから観察です。
あれっ? 代理店の方があわてています。何ということでしょう。蛍光観察用のサンプルを持参するのを忘れてしまったのでした。仕方がありません。何でもいいから、とにかく観察するサンプルが必要です。当時、私達が飼育していた生物といえば、フジツボだけ。ビーカーで飼育していたタテジマフジツボの幼生が、ちょうどキプリスになったところでした。というより、もっともらしいサンプルは、それしかなかったのです。
咄嗟に、ビーカーからキプリスをピックアップして、実体顕微鏡の下に置いて、励起光をあて、接眼レンズから覗いてみました。その時、フィルターは偶然、BV(Blue Violet)フィルターになっていました。
「あれっ? 光ってる!」
これが、キプリス幼生の持つ特異的な自家蛍光発見の瞬間でした。
すぐさま、当時のスタッフのいる部屋に走っていき、みんなに伝えたのです。
「キプリスが光るって知っとった?」
ここから、まさしく怒涛の日々が始まりました。飼育するフジツボの幼生の種類はどんどん増え、10種を超え、野外から採ってきたキプリスの蛍光を見て、付着させては育てて種類を確かめ、様々な幼生やプランクトンの蛍光をかたっぱしから観察する日々が始まりました。
そうして、ある傾向に気づいたのです。フジツボ類は、種ごとに、その生息場所が潮位で決まっています。つまり、イワフジツボやクロフジツボは潮間帯の上部に、タテジマフジツボやヨーロッパフジツボは潮間帯の中部に、アカフジツボやサンカクフジツボは潮間帯の下部から潮下帯に着生分布しています。一方、その自家蛍光性については、イワフジツボやクロフジツボの幼生では、その体内に大量の自家蛍光顆粒を持っているのに対して、アカフジツボやサンカクフジツボの幼生では自家蛍光顆粒をほとんど持っていません。つまり、生息場所が深い所から浅い所に移動するにつれて、幼生の自家蛍光顆粒の量も多くなっていき、フジツボの種ごとに特有の蛍光パターンを示すのです。このフジツボ類幼生の自家蛍光パターンに関する研究論文は、2013年度の日本動物学会論文賞・藤井賞を授与されました。
そこで、ある一つの仮説が産まれました。これらの幼生の蛍光顆粒は、Blue Violet すなわち藍色の光に対する防御なのではないか? すなわち、藍色光は、生物の着生分布に極めて重要な役割を果たしているのではないか?と直感しました。
それから、この藍色光の生物作用に関する研究開発プロジェクトを次々立ち上げて、室内・野外で照射実験する次の怒涛の日々が続きました。
キプリス幼生は、定位する前に、基盤表面を匍匐する行動(基盤探索行動)を示すのですが、ある時、この探索行動中のキプリスに、様々な波長の高輝度LEDスポット光をあててみました。
高輝度の緑色光を当てた時、キプリスは、平然と探索行動を続けています。
高輝度の青色光を当てた時も、やはりキプリスは平然と探索行動を続けています。
ところが、高輝度の藍色光を当てた時、何ということでしょう。
キプリスは、藍色光を当てた瞬間、探索行動をピタッとやめて、付着器官を引っ込めて殻を閉じる実に特徴的な反応を示したのです。
これが、次の発見の瞬間でした。
そうして、様々な幼生やプランクトンへの照射実験を行った結果、藍色光が、様々な海洋生物の幼生に対する特有の忌避・閉殻誘導作用及び微生物被膜(バイオフィルム)形成抑制作用・除菌作用を持つことを、世界に先駆けて発見するに至ったのでした。さらには、青色や緑色の光が、それぞれ特有の幼生を誘引し、特有の付着生物相を加速形成させる作用を持つことも発見することができました。
この後も、藍色光や他波長の光の作用について様々な実験を行い、新たな知見も次々に得られていますが、光の生物作用については、なお多くのことが全く未知のまま残されています。
一方、発光ダイオード(LED)やレーザー(LD)の発展及び放熱技術の革新によって、光の各波長の抽出や、その超高輝度化が可能になってきました。同時に、モデル生物ばかりでなく、その他の様々な生物についての飼育・培養技術、ゲノム解析技術も確実に進展しています。さらに、IT技術による情報の共有化やデジタル化、AIによるビッグデータ解析や自動検知等も可能になってきました。
光は、不思議さと魅力に満ちており、その生物作用に関する研究は、これから全く新しいフェーズへと進化するでしょう。地球上の生命は、数億年もの間、太陽光スペクトルの周期的な変化の下で、発生し、成長し、繁殖し、死にながら、進化してきました。これは、何を意味しているのでしょう? この問いに対する答えは、これから徐々に解明されていくことでしょう。
私達は、光には、生物多様性と人類産業活動との調和を可能にする深い力があると信じています。
光関連ものづくり技術と生物関連(生物調査試験・分子解析)技術及びIT・AI技術を駆使したシミュレーション技術を融合させることによって、これまでに無い、新しい光生物製品・サービス(Photon-Bio Products & Services)を提供し、人類社会・産業活動の「地球環境と調和した進化及び革新」に貢献したいと考えています。
ご協力・ご指導・ご支援の程、どうぞよろしくお願いいたします。
2026年4月
光生物特化ベンチャー
フォトン・バイオ・アイ株式会社
代表取締役 山下桂司

フォトン・バイオ・アイ株式会社
代表取締役 山下桂司
略歴
長崎県五島列島生まれ。兵庫県姫路市在住。
鹿児島大学大学院理学研究科修了。博士(農学)(東京大学)。日本付着生物学会運営委員。
子供の頃より海岸動物が好きで、海洋付着生物(特にヒドロ虫類及びフジツボ類)の発生生態を学ぶ。
科学技術振興機構・創造科学推進事業(JST・ ERATOプロジェクト)の研究員を経て、付着生物調査試験会社を設立、同時に取締役社長就任。付着生物に関わる研究開発の過程で、光と生物の関係性に魅せられ、光と生物の特化会社を起業。
※受賞歴:
・2013年度日本動物学会論文賞・藤井賞受賞。
・令和7年度民間部門農林水産研究開発功績者表彰 受賞
(農林水産・食品産業技術振興協会 会長賞)
※主な著書:
・「フジツボ類の最新学」(恒星社厚生閣:分担執筆)
・岩波科学ライブラリ―「ヒドラ 怪物? 植物? 動物!」
(岩波書店:単独執筆)
・発電所海水設備の汚損対策ハンドブック(恒星社厚生閣:分担執筆)


Photon・Bio・Ai, Inc.
CEO Yamasshita Keiji, Ph.D.
Professional Background
Born in the Goto Islands of Nagasaki Prefecture, currently residing in Himeji City, Hyogo Prefecture.
Graduated from the Graduate School of Science at Kagoshima University, and obtained a PhD in Marine Biochemistry from the University of Tokyo. Active as an executive committee member of the Sessile Organisms Society of Japan.
Since childhood, had a deep interest in coastal animals, which led to studies in the developmental ecology of marine sessile invetebrates (especially hydrozoans and barnacles).
Held the position of researcher in the Japan Science and Technology Agency’s (JST) ERATO project, and later served as president of Sessile Research Corporation. Fascinated by the relationship between photons and lives during the work of research and development, went on to establish a company specializing in this niche.

